インターネットで見ている動画の画質はどれくらい?YouTubeの動画を調査してわかったことまとめ

動画配信の基礎知識
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普段スマートフォンやPCで視聴している動画の「一般的な画質」について、 考えたことのある方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。 今回は、インターネット上で配信されている一般的な動画の画質はどの程度なのか、という事を調べることにしました。 調査対象はインターネット上で最も動画を配信している「YouTube」です。 調査の結果、動画の画質を高めるための地味な努力をしている企業があることが分かったり、技術的な面で面白い結果も出ましたので、合わせてまとめています。 動画の撮影・編集をこれから始めたい方や、既に行っている方にとって、ビットレートを設定する際の参考になると幸いです。
前提知識として、動画と音声のコーデックビットレート画面解像度 を学んでおくと、より理解ができます。

調査方法

YouTubeで配信されている動画の画質がどのようになっているのかを調査しました。 動画は、同じコーデックかつ同じ解像度、同じフレームレートであれば、ビットレートが高いほうがより綺麗に見えます。 YouTubeなどでは同じ動画でも、多数の解像度のものが準備されているため、視聴する環境やデバイスなどによって、再生される動画の画面解像度はまちまちになってきます。 そこで今回は、画面解像度別にどの程度のビットレートになっているかという事を調べてみることにしました。
  • 再生数や動画の内容などが異なる17本の動画を調査
  • それぞれの動画について、解像度が360p 480p 720p 1080p 2160pの場合のビットレートを調査
  • フレームレートや、動画のコーデックの差もあったため、表で細かく分類

調査結果

調査した17本の動画は、以下のようなコーデック、ビットレートとなっていました。

H.264コーデックの解像度別ビットレート

まずは簡易的な結果として、 インターネット上での動画コーデックとして一般的なH.264でのデータをまとめます。

このデータから計算できる、各画面解像度のH.264における平均的ビットレートは以下のようになっていました。 数値は音声データ含めたもので、(カッコ)は音声データを除いた映像のみのビットレートとなります。
解像度 映像+音声 映像のみ 倍率 面積倍率
360p 431.37Kbps (303.37Kbps)
480p 475.67Kbps (347.67Kbps) 1.15倍 1.5倍
720p 1591.56Kbps (1463.56Kbps) 4.21倍 2.67倍
1080p 2230.17Kbps (2102.17Kbps) 1.44倍 2.25倍
倍率:動画の平均ビットレートが一つ下のの解像度から何倍になっているか 面積倍率:各解像度の総ピクセル数が一つ下の解像度の何倍になっているか 1080p(フルHD)の動画でも音声込みで2200Kbps程度となっています。 倍率と面積倍率とは少しずれがでましたが、知る限りの情報と照らし合わせてもおかしな数値ではない印象です。 サンプルの平均と面積倍率などから考えられる一般的に利用されるH.264の動画(音声はaacコーデック)のビットレートは概ね以下のようにすると良いと言っていいでしょう。
解像度 ビットレートの目安
360p 350Kbps~510Kbps
480p 460Kbps~700Kbps
720p 700Kbps~1500Kbps
1080p 1500Kbps~3000Kbps
なお、音声のビットレートは128Kbpsで十分です。音質が必要なければ64Kbpsに下げて、映像のほうにビットレートを回しても良いでしょう。 どうしてもより高画質にする必要があれば、これ以上のビットレートで配信を行ったり、フレームレートを下げるなどの方法もあります。 ただ、より低いビットレートで配信を行う方が、データ容量を抑えられ、玄人が見た際にはポイントが高いです。 画質とビットレートのバランスは難しいですが、許容できる限りビットレートは下げて配信を行いましょう。
インターネット上に流れているデータの大部分を動画データが占めているという現状があるため、動画データを少しでも削減しないと、通信状況やインターネットの利用価格などに影響が出てくる可能性も示唆されています。

その他見えてきた点

続いて技術的な部分で見えてきた点をまとめていきます。
  • 利用されている動画のコーデックは3種類あった。(H.264 / VP9 / AV1 )
  • 同じ動画でも解像度によって異なるコーデックになっていることが多々ある
  • 音声コーデックにはOpusやVorbisも採用されていた。
  • 再生数が特に多い動画で、スマホで視聴する解像度(360p~720p)ではAV1がすでに採用されていた。
  • 再生数が少ない動画は解像度問わずH.264であった。
  • 高解像度の再生数が多めの動画はVP9になっているようであった。4K動画では必ずVP9となっていた。
  • 画質を上げたいという気持ちを感じる動画は「24fps」になっているようだった。
YouTubeでは再生数が多い動画のコーデックをAV1やVP9にすることによって、動画の転送容量を下げる努力をしていることが分かりました。 特に再生が多い動画かつスマホ向けの解像度のものに関してはAV1を採用し、少しでも転送容量を下げているようです。 また、そこまで再生されていないものに関しては、ビットレートが高くなっていても放ってあるようです。 また、PVなどの動画に関しては、少しでも画質を高めたいためか24fpsのものが目立ちました30fpsと比べると20%のコマ削減があるため、1コマあたりに使えるデータ量が増え、同じビットレートでも高画質にすることができます。 YouTubeは合理的なアルゴリズムで、より圧縮率の高いコーデックにエンコードする動画を決めている様子です。

AV1まとめ

VP9まとめ

YouTubeの動画コーデックと画面解像度については、そこそこ面白い傾向が分かったように思います。 何かしらのお役に立てれば幸いです。