自社専用の動画配信サービスや動画販売サイトを作りたいとき、依頼先の開発会社は「どこまでゼロから作るか」で選ぶのが近道です。開発会社には、すべてを一から作るスクラッチ開発が得意な会社、自社パッケージを土台にカスタマイズする会社、大規模な配信基盤を提供する会社など、得意分野に違いがあります。
この記事では、動画配信・動画販売システムの開発を依頼できる会社を7社紹介し、開発手法の違い、依頼先の選び方、費用と期間の考え方を解説します。この記事の結論
- 動画配信・販売システムの開発方法は「スクラッチ開発」「パッケージを土台にした開発」「SaaS・配信プラットフォームの活用」の3つ
- 開発会社は、自社の要件に近い実績、配信の規模、決済・会員管理の対応範囲、公開後の保守体制で選ぶ
- 独自要件はあるが費用と期間を抑えたい場合は、パッケージを土台に必要な機能だけを開発する会社が有力な選択肢
動画配信・動画販売システムの開発方法は3タイプ
動画配信・動画販売システムの作り方は、大きく「スクラッチ開発」「パッケージを土台にした開発」「SaaS・配信プラットフォームの活用」の3タイプに分かれます。どのタイプを選ぶかで、費用・期間・実現できる要件の範囲が大きく変わります。
| 開発タイプ | 概要 | 初期費用 | 公開までの期間 | 独自要件への対応 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|---|
| スクラッチ開発 | 会員管理・決済・配信などすべてを一から設計・開発する | 高い | 長い | ◎ | 前例のない仕組みや大規模サービスを作りたい |
| パッケージを土台にした開発 | 完成済みのパッケージに、足りない機能だけを追加開発する | パッケージ利用料+追加開発費 | 追加開発分のみ | ◎ | 独自要件はあるが、費用と期間を抑えたい |
| SaaS・配信プラットフォームの活用 | 提供されている機能の範囲で設定して使う | 低い | 短い | △(標準機能の範囲内) | 標準機能で要件を満たせ、早く始めたい |
スクラッチ開発
スクラッチ開発は、要件をすべて自由に実現できる一方、費用と期間が最もかかる方法です。動画配信サービスに必要な会員管理・決済・視聴権限の制御・配信・セキュリティ対策まで、一から設計・実装・テストを行うためです。公開後の保守や改修も、その都度見積もりと開発が必要になります。パッケージを土台にした開発
パッケージを土台にした開発は、動画配信に必要な基本機能を既存のパッケージで賄い、自社固有の要件だけを追加開発する方法です。開発工数を独自要件に集中できるため、スクラッチ開発より費用と期間を抑えやすくなります。既存の会員基盤とのシングルサインオン(SSO)連携や独自の決済手段の追加なども、この方法で対応できるケースがあります。SaaS・配信プラットフォームの活用
SaaSや配信プラットフォームは、初期費用を抑えて短期間で動画配信を始められる方法です。ただし、標準機能にない要件は実現できないことが多く、既存システムとの連携や事業拡大時の機能追加に制約が出る場合があります。動画配信システムの開発会社を選ぶ6つのポイント
開発会社は、自社の要件に近い開発実績があるかを最優先に確認します。そのうえで、以下の6点を比較すると依頼先を絞り込みやすくなります。
- 要件に近い開発実績があるか:オンデマンド配信とライブ配信、社内向けと一般向け、有料販売の有無など、動画配信は用途によって必要な仕組みが異なります。自社と同じ業界・用途の事例があるかを確認しましょう。
- 動画販売・課金の仕組みに対応しているか:単品販売、セット販売、レンタル、サブスクリプション(見放題)、チケット販売、クーポンなど、自社の収益モデルに合う課金方法を実装できるかを確認します。
- 配信規模とセキュリティに対応できるか:同時視聴者数の想定、ダウンロード防止や視聴権限の制御、社内のセキュリティ規定への対応可否を確認します。ISO/IEC 27001などの第三者認証も判断材料になります。
- 既存システムと連携できるか:自社の会員データベースや基幹システム、決済手段と連携する必要がある場合は、連携開発の実績を確認します。
- スクラッチ以外の選択肢も提案してくれるか:標準機能で代替できる部分まで一から作ると、費用と期間が膨らみます。要件を「標準機能で足りる部分」と「開発が必要な部分」に分けて提案してくれる会社を選ぶと、無駄な投資を避けられます。
- 公開後の保守・改善体制があるか:動画配信は、ブラウザやOSの更新、視聴端末の変化への対応が継続的に発生します。公開後の保守範囲、機能追加の進め方、障害時の対応体制を契約前に確認しましょう。
動画配信・動画販売システムの開発会社おすすめ7選
動画配信・動画販売システムの開発を依頼できる会社として、得意分野の異なる7社を紹介します。まず比較表で全体像をつかみ、気になる会社の詳細を確認してください。
| 会社名 | 開発のタイプ | 主な自社製品・基盤 | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|---|
| 株式会社ストランダー | 自社パッケージを土台にした開発(AWSでの構築にも対応) | ソーシャルキャスト | 独自要件を、スクラッチより費用・期間を抑えて実現したい |
| 株式会社Jストリーム | 自社基盤+構築・運用支援 | J-Stream Equipmedia、Stream BIZ | 配信インフラから制作・運用まで一社に任せたい |
| 株式会社シャフト | 自社ソリューション+受託開発 | S-VCP、Shaft-LMS | 動画配信とeラーニングをあわせて検討したい |
| 伊藤忠ケーブルシステム株式会社 | 国内外の機器・サービスを組み合わせたシステムインテグレーション | —(国内外10以上のメーカー製品を取り扱い) | 放送局・CATV局など、放送品質の配信基盤を構築したい |
| 秋霜堂株式会社 | クラウドサービスを活用したスクラッチ開発 | —(受託開発中心) | クラウドサービスを組み合わせて、独自の配信システムを小さく始めたい |
| 株式会社メテオリレイ | スクラッチでの受託開発 | —(受託開発中心) | ライブチャットやVRなど、独自の配信システムを一から作りたい |
| 自社プラットフォーム+オンプレミス・多拠点配信の構築 | クラストリーム | 社内ネットワーク内や多拠点に、セキュアな動画配信の仕組みを構築したい |
1. 株式会社ストランダー
- 実績:動画配信システムの開発実績15年、構築・運用実績400社以上
- セキュリティ:ISO/IEC 27001認証取得(認証番号:GIJP-2151-IC)
- 開発期間の目安:要件によるが、ほとんどのケースで3〜6か月程度
- 対応できる要件の例:既存会員基盤とのシングルサインオン(SSO)連携、独自決済・ポイント連携、AWSなど指定クラウド環境での構築、他システムからのデータ移行を伴う乗り換えなど
- 開発事例:オンライン学会のライブ配信システム、TV放送事業者のネット配信システム、学習塾向けオンライン授業プラットフォーム、映画のサブスク型動画配信サービスなど
2. 株式会社Jストリーム
3. 株式会社シャフト
4. 伊藤忠ケーブルシステム株式会社
伊藤忠ケーブルシステム株式会社は、映像伝送と通信を専門とするシステムインテグレーターです。メディアサービス部が、放送局・制作プロダクション・コンテンツ制作会社向けに、OTT(動画配信)システムやリモートプロダクション環境の構築を支援しています。放送技術・配信技術・ネットワーク技術にワンストップで対応し、エンコーディング、広告挿入、配信監視、プレイヤー、CMS・DRMなど配信システムの構成要素を、国内外10以上の取り扱いメーカーの中から特定メーカーに縛られずに提案しています。
こんな企業におすすめ:放送局やCATV局など、放送品質の配信基盤や広告挿入・監視まで含めたOTTを構築したい企業5. 秋霜堂株式会社
秋霜堂株式会社は、Webシステムの企画から開発・運用までを社内で一貫して手がけるシステム開発会社です。AWS IVSやCloudflare Streamなどのクラウドサービスを活用したOTT・ライブ配信システムの構築を提供しており、短いサイクルで開発と検証を繰り返すアジャイル開発を採用しています。「フルスクラッチが本当に必要か、クラウドサービスで代替できないか」という視点から構成を提案し、稟議書を作成する段階からの相談にも対応しています。
こんな企業におすすめ:クラウドサービスを組み合わせて、独自の配信システムを小さく始め、改善しながら育てたい企業6. 株式会社メテオリレイ
7. 株式会社アイ・ピー・エル
株式会社アイ・ピー・エルは、1992年創業のシステム開発会社で、2011年から法人向け動画配信システム「クラストリーム」を提供しています。会員・社員に視聴者を限定した配信に強く、クラウド配信に加えて、社内の閉域ネットワークに導入するオンプレミス配信や、拠点ごとに負荷分散サーバーを配置するエンタープライズ多拠点配信システムの構築にも対応しています。他システムとの連携も可能で、特許を取得したウォーターマーク技術による情報漏洩の抑止や、動画配信事業部でのISO 27001・ISO 27017認証取得など、セキュリティ面の取り組みが充実しています。
こんな企業におすすめ:セキュリティポリシーが厳しく、社内ネットワーク内での配信や多拠点への配信が必要な企業動画配信システム開発の費用と期間の考え方
動画配信システムの開発費用と期間は、「一から作る範囲がどれだけあるか」でほぼ決まります。同じ要件でも、スクラッチ開発かパッケージを土台にするかで、見積もりの対象範囲が大きく変わるためです。
費用を左右する主な要素
- 開発範囲:会員管理・決済・配信などの基本機能まで開発するか、独自機能だけを開発するか
- 課金モデルの数:単品販売、サブスクリプション、チケット販売など、実装する課金方法の種類
- 外部連携:既存の会員基盤、基幹システム、独自決済との連携の有無
- 配信規模とインフラ:想定する同時視聴者数、冗長構成、指定クラウド環境での構築の有無
- 公開後の運用:保守・監視・サポートの範囲と、配信量に応じた従量費用
期間の目安
スクラッチ開発では、要件定義・設計・開発・テストをすべての機能について行うため、公開までの期間が長くなります。パッケージを土台にする場合は、追加する機能の設計・開発・テストに工程を絞れるため、期間を短縮できます。たとえばストランダーの受託開発では、要件によるものの、ほとんどのケースが2〜4か月程度で完了しています。費用を抑えるコツ
費用を抑える最も確実な方法は、最初からすべてを作らないことです。まずは標準機能で実現できる範囲で公開し、利用状況を見ながら必要な機能を追加すれば、使われない機能への投資を避けられます。見積もりを依頼する際は、要件を「必須」「あれば良い」「将来追加」に分けて伝えると、開発会社ごとの提案を比較しやすくなります。事例:パッケージを土台にした動画配信システム開発
パッケージを土台にした開発で、実際にどのような要件が実現できるのかを、ストランダーの開発事例で紹介します。| 事例 | 主な要件 | 開発の方法 |
|---|---|---|
| 教員向け動画配信サイト「Find! アクティブラーナー」(株式会社FCE) | 新規事業を小さく始め、反響を見ながら機能を拡張したい | ソーシャルキャストで立ち上げ、動画の音声を文字起こししたテキストを提供する機能などを追加開発 |
| 学習塾のオンライン授業プラットフォーム | 1,000名以上の生徒管理、月謝のオンライン決済、ビデオ会議システムとの併用、授業動画の見返し | ソーシャルキャストを土台に開発(サーバーの自動スケール、負荷分散を含む) |
| 有料TV放送チャンネルのネット配信サービス | 数千本以上の番組の見放題、TV放送との同時配信、生放送中の出演者とのチャット | ソーシャルキャストを土台に開発 |
| 商品紹介動画の配信プラットフォーム | 機密情報の管理と情報漏洩対策のため、自社の管理下にあるサーバーで動画を管理・配信したい | パッケージを使わずAWS上に構築(S3、CloudFront、MediaConvertによるHLS配信、ドメイン制御) |
株式会社FCEさまは、当初フルスクラッチでの構築も検討したうえで、必要な機能がそろっていて費用を大きく抑えられること、小さく始めて後から拡張できることを理由にソーシャルキャストを選んでいます。このように、独自要件があっても土台にできる部分はパッケージを使い、どうしても必要な部分だけを開発すると、費用と期間を抑えやすくなります。
よくある質問
動画配信システムの開発は、どの会社に依頼すればよいですか?
自社の用途と規模に近い開発実績を持つ会社に依頼するのが基本です。放送局級の大規模配信ならメディア向け基盤を持つ会社、独自要件を費用を抑えて実現したいならパッケージを土台に開発する会社、クラウドサービスを組み合わせて一から作るならクラウド活用に強い開発会社が候補になります。