この3月31日にU-NEXTとParaviが統合します。
先月の発表時には、動画配信業界ではかなりの話題となりました。
今後の国内サービスの再編や成長というポイントを軸に見ると、この合併は大きなターニングポイントになりそうです。
まずこの2つのサービスがどのようなものかをおさらいしてみましょう。
U-NEXT
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サブスク型の動画配信サービス
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実は配信コンテンツ数がNETFLIXやHulu、AmazonPrimeより多い。
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国内外の様々なジャンルのコンテンツを視聴可能。バランス良いラインナップ。NHK含むTV局のコンテンツがある。
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VOD、ライブ両方ある。電子書籍も。
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オリジナルコンテンツは少ない。
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アダルトコンテンツもかなりの数がある。
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A級コンテンツが充実しているわけではなさそう。(私見)
Paravi
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サブスク型の動画配信サービス
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国内TV局(TBS、テレビ東京、WOWOW)のコンテンツを中心としたラインナップ
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VOD中心。ライブも少ないがある。
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オリジナルコンテンツは少ない。
U-NETX、Paraviあわせると会員規模は380万人になるとのことで、Huluの280万人をこえます(延べ数)。ちなみにNETFLIXの国内会員数は600万人程度とのことなので、そこまで見劣りする会員数ではありません。
意外に感じる方も多いのではないでしょうか。
オリジナルコンテンツで無理しなかったのが吉だった?
オリジナルコンテンツが全くないわけではないのですが、両方のサービスともオリジナルコンテンツをたくさん作って会員数をともかく増やそう、という運営方針ではなかったように思われます。
(過去に何度も書きましたが、NETFLIXやディズニープラスはオリジナルコンテンツをガンガン作ってともかく会員を増やす、という経営戦略だったため、頭打ちの状態です。)
逆に言えば、ゆっくりした成長だけども地に足を付けて安定した経営をしていたとも言え、派手さはないけども押さえるところを押さえてきたといえそうです。
国内TV局のコンテンツを充実させつつ、本数少なく質の高いオリジナル作品に取り組むのではないか
U-NEXT、Paraviとも、国内TV局のコンテンツがそれなりの数あり、VODで視聴できます。
TV局のコンテンツといえばTVerですが、TVerは基本見逃し配信(広告モデル)なので、過去の作品を全話みれるということではありません。
TVerでの見逃し配信がそれなりに好調という評価もあり、国内ドラマやバラエティもネット配信需要があることがわかってきました。
もしU-NEXTが今後TBSやテレビ東京以外のコンテンツを取り込んでいくと、国内での会員数はNETFLIXと肩を並べるか抜いていく可能性もありそうです。
日本の映像コンテンツは、日本人に対してしっかりとしたニーズがあるので、日本人をペルソナとして運営できるのは強みになるでしょう。
アカウント数1億などの途方もない数字には到達しないでしょうが、地に足をつけてしっかりと運営ができそうです。
会員数が伸びれば予算もつけられますから、海外サービスのように乱発するのではないけども、質の高いオリジナルコンテンツ作成をやっていく可能性もあるのかなという気がしました。
U-NEXTがお金を出して制作する独占配信のアニメという方向性もあるかもしれないですね。
だからと言って、ガンガン会員数をのばそう、海外をターゲットにしてサービス展開をしよう、という流れになっていくと、競合がNETFLIXやディズニーになっていきますから、焼き畑農業のようなおかしな流れになっちゃう気もします。
あくまでも国内需要をしっかり押さえるサービスとして成長させていこうと考えているのではないでしょうか。
U-NETXは「一般的な日本人が視聴する動画コンテンツがまんべんなくそろっている動画配信サービス」になろうとしているように感じています。
国内に限ってはかなり強いサービスになっていくように思いました。
※個人的には、NHKの大河ドラマと同じ予算規模のオリジナル時代劇が見たいです。