二重価格が広がっている
先日、日経電子版で以下のような記事が掲載されていました。
動画配信サービスに限らず、アプリとWeb両方で展開を行っているインターネットサービスにおいて、二重価格を取るケースが増えている、という記事です。
二重価格は、以前より実施しているサービスがひっそりと存在していたのですが、ここにきてそれが増えてきています。
なんでそんなことをやっているのか。
理由は「アプリ経由の販売はとられる手数料が高い」からです。
AppStoreやPlayストアでアプリを配信し、アプリ内で課金を行う場合、20%~30%の手数料を取られます。
一方、自前で構えるWebサイトで課金を行う場合は、決済代行会社に支払う決済手数料(クレジットカードの場合は3%前後)だけですみます。
500円の課金を行う場合、前者の場合は150円の手数料が取られますが、後者の場合は15円ですむということになり、販売者側の利益率は後者の方が圧倒的に高くなります。
利益率を高めたいという自然な発想
販売者側としては「手数料が高いなら、アプリで課金する場合は手数料分上乗せさせてもらう代わりに、Web側でも課金できるようにしてこちらは安くしておこうかな・・・・。」という発想になるのは自然な流れといえます
これは販売側にもユーザーにもメリットがあります。(利益が失われるのはアプリプラットフォーマー。)
アプリをリリースするメリットとデメリット
ただし、アプリをリリースするメリットもあります。
何より大きいのはスマホのホーム画面にきっちりとアイコンとして鎮座させることができ、プッシュ通知を送ることが出来るという事です。
この点はアプリの大きな利点といえます。
決済も簡単です。カード番号などをいちいち入力する必要はありません。
手数料が高いということ以外にもデメリットもあります。
それは「アプリを作らなければならない」という点です。
アプリの構築には様々な方法がありますが、アプリとして成立するように仕立てたうえで、アプリプラットフォームに申請して審査を通過し、システム的にはアプリ決済ができるようにはしなければなりません。
メンテナンスも必要です。
どうするのが良いのか
よほど予算が潤沢にあれば別ですが、中小規模の事業であれば、まずはWebのみでサービス展開をしておくのが良いと私は考えます。
「スマホ対応のWeb」にしておけば、iOSでもAndroidでも利用していただけます。利益率も高いです。プッシュ通知もできなくはありません。
PCやタブレットでも利用していただけるので、マルチデバイス対応ができてしまいます。
その後利益がしっかり出て、予算がしっかり確保できるようになった段階で、アプリをリリースすべきかどうかを検討するのが良いでしょう。
実際、アプリでの手数料が高く撤退を余儀なくされたサービスは複数存在しています。
特に中小規模のサービスは、まずWebを中心としてサービスを構築し、アプリはその派生、という順番でやるといいのではないかなと考えます。