経済大国となった中国。
中国人相手の商売を熱心に考える方も増えてきました。
日本にもたくさんの観光客が訪れ「爆買い」といわれるぐらい大量の買い物をする、という事なども話題になりましたね。
現在、様々な形で中国人向けのサービスを考える方が増えてきており、インターネットサービスにおいても同様となってきています。
弊社にも中国向けの動画販売を行いたいという相談をいただくことがあるのですが、その際に調査した内容を簡単にご紹介したいと思います。
グレートファイアウォールの存在
そもそも、中国は国家主導で様々な情報のコントロールが可能です。
インターネット上の情報も同様で以下のような状況となっています。
- 中国は、情報統制のためグレート・ファイアウォール(金盾)と呼ばれるインターネットの通信検閲システムを持っている。
- 中国国内からインターネットを利用する場合、国内外の情報を問わず通信を検閲している。
- 不適切と判断された情報が通信に含まれていた場合、データ転送が遮断され、閲覧することができなくなる。
中国国内からのインターネットの利用は、基本的にグレート・ファイアウォールの影響下となります。
何が不適切とされるのかは判断が難しいため、中国をターゲットとしたサービスが中国国内から遮断される可能性は否定できません。
では、そのリスクを極力下げるためにはどの様にしたらいいでしょうか。
「そもそも利用が禁止されているサービス」を利用しないことがクリア第一段階
中国からの利用ができない大手のサービスはある程度わかっています。
それらを利用してサービスを構築すれば中国からの利用が難しくなることは理解できるでしょう。
- 中国から利用ができないサービスを使ったWebサービスは、中国向けサイトは見られてすらいない可能性がある。
- たとえばGoogle系はすべて利用禁止のため、Webサイトの構築で各種Google系サービスを利用すると、中国からの閲覧に支障が出る可能性が高い。
- Googleサーバー上のjQuery系ライブラリの利用も対象の模様。
- よって、まずはそもそも禁止されているサービスを使ったWebサービスを構築しないことが重要。
動画配信部分にYouTubeを利用するのは論外ということになりますね。
参考:
貴社の中国語サイトが中国で見れるかどうか、考えたことありますか? | LSArtist
決済手法をどのようにするか
次に、有料でインターネットサービスを提供する場合の決済方法です。
中国は一般的な銘柄のクレジットカードが普及していないため、中国人が利用しやすい決済方法を準備しておく必要があります。
現在は主に以下の3つとなり、対応している日本の決済代行会社も存在します。
- 銀聯カード(ぎんれんカード):デビットカード
- 支付宝(アリペイ):銀行口座連動型決済サービス
- WeChat Pay(ウィチャットペイ):銀行口座連動型QRコード決済
銀聯カードは古くからあり、広く普及しています。
アリペイ、ウィチャットペイは比較的新しい決済方法です。
※サブスクリプション課金が可能かどうかは未調査。
可能であれば中国国内にサーバーを持つと良い
ここまで記載したポイントをクリアしていたとしても、データ転送が遅く、表示に時間がかかることがあるようです。
よって、最も良い方法は中国国内にサーバーを持つこととなります。
※最悪、香港などでも「まし」のよう。
ただし、ライセンスの問題が発生する
中国国内にサーバーを持つことが最良、と記載しましたが、ここで最大の壁が立ちはだかります。
中国内サーバーで運営されるインターネットサービスは国家に対して届け出が必要となり、ライセンスを得る必要があります。
- 中国では全てのWebサイトが政府の管理下に置かれている。
- 個人・法人運営を問わず中国で情報を発信するすべてのホームページには、ICP(Internet Contents Provider)サイト登録が義務付けられている。
- ライセンスが無いと、中国内の検索エンジンで検索できない、そもそも表示されないなどの弊害が出る可能性がある。
- ライセンスは、中国の法人にしか発行されないため、現地法人を作る必要がある。
- ECやインターネットサービスの有料提供の場合、決済を行う事業者として1段階上のライセンスが必要。
- さらに動画配信サービスの場合は、個別の営業許可証を得る必要がある。
動画配信のライセンスを得るまでになるとなかなか難しそうです。
なお香港のサーバーであれば、いまのところ各種ライセンスを取る必要はありません。
結論
中国向けの動画配信サービスを行う場合は、以下のポイントをクリアすることが理想といってよさそうです。
- 理想は中国国内にサーバーをたててサービス提供を行うこと。
- ただし、中国の法人でないと中国内でのサービス提供について営業許可が下りないので、実現はなかなか難しい。
- 中国国外にサーバーを設置しても、全く見られないという事ではないが転送速度が遅くなる可能性が高い。
- 香港に存在するサーバーであれば、中国に近く、ICPライセンスを取る必要はない。
- Google系などNG対象のサービスを利用せずに動画配信サービスを構築する必要あり。
- 決済は中国人が利用できるものにする必要がある。
確実な方法で中国人向けの動画配信サービスを提供するのはなかなか難しいな、、ということが分かりました。
Webサイト程度であれば多少速度が遅くても何とかなりますが、動画配信の場合はデータ転送速度が遅くなってしまうと、かなりクリティカルな問題となります。
香港や日本のサーバーに構築した動画配信サービスが全く視聴できないという事ではないようなので、リスクを承知でチャレンジしてみるのはありかもしれません。
弊社のソーシャルキャストの場合、レンタルプランでは日本国内サーバー設置となっています。
香港サーバーに設置する場合は、パッケージプランにて対応ができる場合があります。
ただしその場合でも、上記のように確実に配信が可能という保証ができないのが難しい所です。