法的な縛りとこれまでの経緯
電波放送
電波放送(TV)は電波周波数を割り当てられているテレビ局が放送を行っています。 勝手に電波を発信して、大規模に放送を行うことはしてはいけません。 インターネット動画配信には上記のような割り当てられる電波はなく、誰でも好きなように放送を行うことができます。 個人でも、企業でも、テレビ局でも、誰でも可能です。インターネット動画配信
インターネット動画配信は20年ほど前から存在していたのですが、視聴環境と、なにより配信をしたりコンテンツを作ったりする環境がここ数年でかなり安価に簡単になってきたため、一般の方がどんどん自分のコンテンツを作成して配信するようになりました。 結果として、大量のコンテンツが作成され、面白いものも散見されるようになり、インターネット動画の視聴者が増えていきました。 現状は、より高いクオリティのコンテンツを保持している・作ることができるTV局などが、インターネット放送に参入してきています。技術的な違い
電波放送
電波放送は、基本的に電波を使った一方通行の放送です。 大きなアンテナから強力な電波を送信し、それを各家庭がアンテナで受信して視聴します。 電波は一定範囲まで到達しますが、範囲外のアンテナでは受信できません。 ただし、範囲内のアンテナであれば、すべてと言っていい数のアンテナが受信できます。 スカイツリーは、1400万世帯に電波を送信しているそうです。 電波は光の一種ですから速度は非常に早く、リアルタイムに同じ内容をたくさんの世帯に放送することができます。インターネット動画配信
インターネット動画配信は、インターネット上に存在するサーバーから、インターネット回線を利用して動画データを視聴者の端末に送信します。 インターネット回線がつながっていれば、地球の裏にも動画を配信することができます。電波のように範囲の制限はありません。 しかし、先述したように、配信サーバーと回線が必要になるため、たくさんの人が見る場合はたくさんのサーバー、たくさんの回線が必要になります。 よって、視聴者の人数がかなり多くなってくると、一般的なサーバーや回線ではまったく用をなしません。配信専用のサーバーを利用し、強力な配信用の回線を準備する必要が出てきます。 また電波と同じように、リアルタイムに、受信しているすべての端末にほぼ同じタイミングで動画を配信することは、現在の技術ではできません。 たとえば、スカイツリーの性能と同じように、1400万クライアントに同時視聴をさせるためには、(私では)そろばんをどうはじいて良いかわからない程度のインフラ整備(回線・サーバーの準備)とそのために配信側が支払うコストが必要になります。 このレベルのインターネット放送をさばける会社は世界でも数社しかないでしょう。過去に1400万人が同時視聴したインターネット生放送が存在しています:2015年League of Legendsのワールドチャンピオンシップ決勝で1400万人が同時視聴
この事例でも、同時にということではなく20~30秒からそれ以上のタイムラグが発生していたものと思われます。タイムラグの秒数も視聴者によって違ってきます。
「放送」と「配信」の違い
似たような言葉として「放送」と「配信」がありますが、電波を用いる場合は「放送」と呼び、インターネット回線を用いる場合は「配信」と呼ぶことが一般的です。電波放送とインターネット動画配信それぞれの得意・不得意
電波放送は、先述しましたが、同じ内容の動画をリアルタイムに大量の端末に放送することが得意です。 スポーツ中継、記者会見、ニュース速報などのコンテンツは、電波放送が得意としています。- リアルタイム性が重視されるもの
- 公共性が重視され同一のものを大量に、一斉に伝える必要があるもの
- 電波のように到達範囲を気にする必要がなく、世界中に配信できる
- 誰でも配信できる
- 視聴者の要求に合わせて、見せたい時に見せたいものを提供することができる
- 視聴コントロールが可能(お金を払った人だけに見せる、アカウントを持っている人だけに見せる など)
- 視聴端末が、PCやスマホなどバリエーションに富んでいる
- コミュニケーションをとりながら行う生放送が非常に得意